小さな巨人 第9話 あらすじ・レビュー

山田（岡田将生）が横沢（井上芳雄）を連れ、姿を消した。

小野田（香川照之）の指示で、所轄からは資料が持ち出され、香坂（長谷川博己）は自宅謹慎を言い渡される。

自宅へ戻ると、山田と横沢が来ていた。

江口（ユースケ・サンタマリア）は、自分に何かあったら山田を頼るようにと連絡先を横沢に教えていた。

事件当日、江口を会う約束をしていた横沢が待ち合わせ場所へ行くと、江口はすでに殺害されていた。人が来る気配を感じ横沢が身を隠していると、そこに富永（梅沢富美男）がやってきた。

富永は江口の遺体の傍に、持参した横沢の毛髪を置くとどこかに電話をし、横沢にすべてかぶってもらえばいいと話していた。

横沢は自分のいうことを信じてもらえるかどうか自信がなくて警察にも電話できずに、山田を頼った。

学園の裏帳簿は横沢が貸倉庫に隠しており、そのカギは山田が持っている。

横沢を逃がしたのは自分なりに覚悟があってのことだと山田は香坂に告げた。

山田が裏帳簿のコピーを香坂に見せた。それには山田の父、富永の名前も載っている。

横沢がそれを見つけた時はすでに1ページが半分くらい破り取られていたという。

山田が香坂の父・敦史（木場勝己）から話を聞きたいと言い出した。二人で養護施設を訪れる。

渡部（安田顕）から報告を受けた小野田は、応援を送ると伝えた。

山田が小野田と富永の写真を敦史に見せ、当時のことを聞き出そうと試みるが、敦史は何も答えない。

突然敦史が「におうな」と口にした。カーテンを開け外を見ると、捜査一課が来ていた。

渡部たちは捜査一課から指示があったと香坂に話し、部屋を確認し始めた。

山田が身を潜めているベランダを渡部が覗こうとしたとき、突然敦史が「捜査令状はあるのか！」と怒鳴りだした。渡部は頭を下げて部屋を出て行った。

敦史は、山田が手にしていた裏帳簿のコピーを指さし「山田さんとの絆だ」とつぶやいた。

山田が自分の父について尋ねるが、敦史はそれ以上は何も話さなかった。

山田は香坂に自分と父・勲（高橋英樹）との関係について話し出した。

刑事局長を務めていた父を山田は尊敬していたが、あることがきっかけでその尊敬する気持ちが崩れてしまったという。

勲の運転担当をしていた松山義則が亡くなった。それは自殺か他殺かも判明しないような不審な死だった。

松山は山田のことを唯一認めてくれていた人だった。

勲が犯人を突き止めてくれると信じていたが、勲が部下に、捜査を打ち切るように指示しているのを聞いてしまった。「死んだ人間はどうでもいい」と口にし、隠蔽の指示をした。

その事件は今も未解決のままだ。山田はその事件を掘り起こし、父の悪事を暴きたいと考えていた。

松山が亡くなったのも17年前、勲と早明学園の癒着が始まったのも17年前。単なる偶然ではないと山田は言う。

山田は勲に会いに行った。

裏帳簿のコピーを見せ、勲と早明学園の癒着が始まった17年前は、早明学園が新たなプロジェクトのために国有地を買収した時期と重ねると山田は指摘する。

金をもらう見返りに、国に認可を下すよう便宜を図ったのではないかと問いただす。

破れたページに何が書かれていたのかと尋ねるが、勲は答えない。

そこに小野田がやってきた。勲は小野田に「この男、連行してくれ。不法侵入だ」と言った。

山田が捕まったことを三島（芳根京子）に聞かされた香坂。

山田から預かった倉庫のカギを見て、自分はどうするべきなのか、香坂は考える。

柳沢（手塚とおる）から呼び出された香坂は、山田の件についてどこまで把握していたのかと聞かれる。

そこで、小野田が通常ではありえない出世の仕方をしていると聞かされる。

小野田は上司に不祥事の罪をかぶせて所轄へと追いやった。小野田も所轄へ左遷されたが、様々な手を使って捜査一課に舞い戻り、捜査一課長にのし上がった。

柳沢は小野田を怪物だと表現した。小野田が内部告発をした上司というのは香坂の父だった。

三島は香坂に、江口殺害事件の捜査資料を手渡した。一課に奪われる前にコピーをしていたのだという。

三島も関口（石黒英雄）もほかの署員たちもみんな、協力を申し出た。

小野田に守られている富永を任意で引っ張ることはできない。何か突破口はないか、全員で調べなおすことにした。

金崎（和田アキ子）の旧姓が“山田”だと知った香坂は、父親の言葉「山田さんとの絆だ」という言葉を思い出す。

金崎は事件当日、ずっと理事長室にいて、警察が来たことにも気づいていなかったと証言している。

学園の見取り図を見ていた香坂がある計画を思いつく。

保護者説明会が開かれることになり、刑事課長の須藤（神野三鈴）が富永と会うことになった。富永が学園にいない今夜がチャンスだ。

渡部は香坂に、小野田が直々に山田の取り調べを行うことになったと報告した。渡部は香坂を逮捕したくないと言い、自分にとっての正義は香坂だと話した。

そんな渡部に横沢を会わせ、力を貸してほしいと頭を下げた。

香坂は金崎から話を聞くために学園に会いに行った。

小野田は山田に取引を持ち掛ける。

山田勲が何をしたのか、記録されたものがこの中にあると言って金庫を見せ、横沢の居場所と裏帳簿のありかを聞き出そうとする小野田。

香坂が改めて、事件当日の夜のことについて金崎に尋ねる。

金崎は理事長室にいたと証言した。もしかしたら犯人が逃走する際に、理事長室の前の廊下を通ったかもしれないと香坂は言うが、金崎は足音はしなかったとそれを否定する。

次の瞬間、屋上からものすごく大きな音が響いてきた。その物音に慌てる金崎に「鉄骨が落ちた音です」と香坂は告げた。

屋上にいる署員たちが香坂の指示通り、事件当日を再現し、鉄骨を落としたのだ。

金崎が本当に理事長室にいたとすれば、この物音に気付かないはずはないのだ。

富永と金崎が江口を殺害したのではないかと詰め寄ると、富永が理事長室に入ってきた。

金崎から任意で話を聞くという香坂に、小野田が認めるはずがないと富永は言う。

香坂は、今回の件には小野田の許可は必要ないと告げた。その時、捜査二課が理事長室に入ってきた。

捜査二課長の松岡（高橋光臣）は裏帳簿のコピーを手にしていた。

「元捜査一課長といえども、口出しは控えていただきます」と富永に伝える松岡。任意同行を断るならこの件はマスコミに流れてしまうと金崎に告げ、連行していった。

松岡は、コピーでは証拠として足りないから原本が必要だと香坂に告げる。

そして先に香坂たちが金崎を取り調べるようにと言う。

「江口警部は我々の大事な仲間でした。必ず犯人を上げてください。」そういって2課全員が香坂に頭を下げた。

そこに小野田から「残念だったな、香坂」と電話が入った。

渡部と横沢が、原本を持ち出しているところへ捜査一課がやってきた。横沢も裏帳簿も捜査一課の手に渡ってしまった。

山田が話したのではない。山田は何も言わず、留置所へ戻してくれと言っていた。

小野田が渡部を運転担当にしたのは、香坂との信頼が厚いからだと小野田は話し、香坂を尊敬している渡部は、いつか自分を裏切ってくれると信じていたとにやける小野田。

渡部をマークさせ、横沢を捕まえたのだ。

小野田の部屋には裏帳簿が並んでいた。

もうすぐ弁護士がきて、金崎は釈放されると小野田は言う。

その後、横沢と香坂の取り調べを行うと小野田は告げた。

香坂は、裏帳簿から破り取られた部分には小野田の名前が書いてあったのではないかと指摘する。

小野田は金庫の中から切れ端を取り出し、香坂に見せた。

それには、香坂敦史の名前が書かれていた。

山田は17年前、父親が隠蔽を指示していたのが香坂の父だったことを思い出した。