小さな巨人 第5話 あらすじ・レビュー

内通者を暴き出すために香坂（長谷川博己）と山田（岡田将生）が仕掛けた罠に引っかかったのは、三笠署長（春風亭昇太）だった。

だが100％と言える証拠はないため、逮捕することは出来ない。

小野田捜査一課長（香川照之）からは、所轄の署長が内通者だと情報が漏れる恐れがあるため、所轄は指示があるまで待機してろと命じられる。

ゼロを100にするための証拠はないものかと考えていると、中村（竜星涼）が一つの資料を持ってきた。

それはアリサ（佐々木希）が、隆一（加藤晴彦）から預かったと証言しているUSBの写真だった。USBには黄色の小さいお守りがついている。

それを見た渡部（安田顕）は見覚えがあるとつぶやき、京子（富永沙織）のFacebookを確認し始めた。

そこに、そのUSBが写っていた。そのお守りは、誕生日に父親から送られたものだった。

京子がそれに大事なデータを入れていたと考えられる。

香坂はそれが、隆一が京子を殺した証拠になるかもしれないと言う。

京子が亡くなった時、そのUSBも一緒に落下したとするなら…。それを隆一が持っていたということはその場にいたということになる。

USBの写真をよくみてみると、端の部分がかけていることがわかった。

落ちた衝撃でかけたのなら、現場近くに破片があったはずだ。鑑識が入る前に誰かがそれを持ち去ったのかもしれない。それが出来るのは、隆一から連絡を受けてすぐに現場へ駆けつけることが出来た三笠しかいない。

他殺の証拠となるそれを三笠が隠蔽したのかもしれないと香坂は考えた。

その頃三笠は、中田和正（桂文枝）、隆一と会っていた。三笠はアリサの証言だけで隆一が逮捕されることはないと断言する。

これ以上捜査の手が伸びないように手を打ってくれという中田に、自分も部下から目を付けられているからそれ相応の見返りが欲しいと言い出した。

念のためにととっておいた証拠があることをにおわす三笠。

香坂は、三笠が隠し持っている証拠を手に入れるため、署長室に忍び込むことにした。

署長会議で署を離れている間がチャンスだ。その後、懇親会があるため、署には戻らない。

香坂たちはその間に署長室を調べることにした。

会議に出席するため外出していた三笠に、警務係の大島（児嶋一哉）から一本の電話が入る。

署長室の鍵が見当たらないという電話だった。その電話を受けた三笠は会議には出席せず、署へ戻ることにした。

大島が電話をしている内容を偶然小野田が耳にする。

三笠のデスクには鍵付きの引き出しがあるが、そのカギは紛失届が出されていて、開けることが出来ない。

そこに三笠が戻ってきたと連絡が入った。

香坂たちは慌てて片づけ始めた。すぐそばまで三笠がきている。

三笠が署長室のドアノブに手をかけた時、小野田が声をかけた。

小野田は相談したいことがあると言って三笠をその場から連れ出した。

その間に片づけをし、香坂は机の引き出しに傷をつけ始めた。

三笠は小野田との話を終えると、急いで署長室へ戻った。スペアキーでドアを開けると、部屋は綺麗に片づけられていた。

中田隆一が翌日、日本を離れることが判明した。

手詰まりだと肩を落とす渡部たちに、香坂はまだ手があると告げた。

三笠本人に証拠を取り出させるという。

デスクの引き出しについている傷を見た三笠は、慌てて引き出しを開けた。

証拠品が盗まれていないことにほっとしていると、大島がやってきた。

大島は鍵が見つかったことを報告し、貴重品の管理など気を付けるようにと言って署長室を出て行った。

香坂と山田は、隆一が海外に逃亡しようとしていることを小野田に伝え、早急に逮捕令状を出してほしいと頭を下げる。

だが小野田は、証拠を持ってこなければ逮捕状は出ないと一喝する。

隆一が乗る飛行機は翌日の午前8時に出発する。逮捕状を出すためには3時間かかる。

ということは、翌日朝5時がタイムリミットということになると小野田は告げた。

三笠は、香坂の読み通りの動きをした。

証拠品を引き出しに入れたままにしておくのは危険だ。だからといって、小野田も出席する懇親会に持っていくのもリスクが高い。

そこで三笠は、証拠品保管庫にそれを隠すことにした。

証拠品保管庫には、5000以上もの証拠品がある。その中から三笠が隠したものを見つけるのは大変なことだった。

それでも香坂たちは、リストに載っていない、三笠が隠した証拠品を探し始めた。

懇親会に出席している小野田は、会場の外で電話を始めた。

中田隆一から目を離さないように、そして空港にも刑事たちを配置するよう指示した。

香坂たちが手分けして探していると、捜査一課がやってきた。

小野田から所轄を手伝うように指示されたという。

こうして所轄と捜査一課が協力して証拠を見つけることになった。

みんなで必死に証拠品を探すが、とうとうタイムリミットの5時を迎えてしまった。

みんなが落胆していると、山田が証拠品を見つけたと声を上げた。

その破片を、隆一がアリサに渡したUSBに合わせてみるとぴったり一致した。

隆一は空港にいた。飛行機に乗るため移動しようとした時、刑事たちに囲まれた。捜査一課は逮捕状を見せ、連行していった。

中田から連絡を受けた三笠が駆けつけると、香坂が隆一の取り調べをしていた。

隣の部屋では、小野田もそれを見守っている。

香坂と山田は、菜穂（吉田羊）が偽証を認め、真実を話したことを隆一に伝えた。

隆一は京子のUSBを盗み出した。それに気づいた京子は、それに入っている特許の権利を返すよう訴えた。その説得の場に隆一もいた。

隆一が1億で買い取ると言うと、京子は自分と父親の大事なものでお金にかえられないと言い、USBを取り戻そうとした。

揉み合って京子が落下。隆一は、そのことを誰にも言うなと菜穂にくぎを刺し、監視カメラの映像を書き換えるように指示した。

菜穂は指示された通り、映像を書き換え偽証した。

隆一はそのUSBを京子からもらったものだと主張した。香坂はそんな隆一を臆病者だと非難する。

証拠がないと強気に出る隆一に、香坂は証拠を提示した。

USBの破片を現場から持ち去ったのは三笠だと言い、香坂はミラーの奥にいる三笠をにらみつけた。

破片からは京子の血液も検出されている。

香坂は、隆一の殺人を隠蔽したことで三笠を責め、警察官ではなく犯罪者だと言い放った。

その後、アリサはインサイダー取引で逮捕され、中田社長は事件への関与を否定し、隆一は起訴された。

渡部は、意識を取り戻した風見康夫に、真犯人を逮捕することが出来たと報告した。

記者へ情報をリークしたことを認めた香坂は、豊洲署に異動させられることになった。

事件は幕を閉じたかに思えたが、三笠は一切処分されず、別の所轄へ警察署長として転出しただけだった。

警視庁の顔である元捜査一課長が犯罪に加担していたとなると国民の信頼を失い、警察の信用は地に落ちる。それが表向きの理由だと小野田は言う。

三笠は、業務の傍ら、警察幹部の天下り先を斡旋していたのだ。そこで中田社長と癒着関係があった。

それが表ざたになれば、警察内部に困る人間がたくさんいるのだという。

そういう連中が三笠の処分に待ったをかけたのだと小野田は説明した。

小野田は香坂と山田に「お前たちもこの立場になったらわかる。正義だけでは国民の真の安全は守れない。捜査一課長とはそういうものだ」と告げた。

そんな小野田に、香坂は自分の正義を貫いてみせると伝えた。

香坂と山田が小野田の部屋を出ると、三笠が待っていた。

三笠は二人に「本当に恐ろしいのはあの男なんだよ。」と告げ、現場畑の小野田が捜査一課長にまでなれたのは、刑事として優秀なだけじゃなく、出世のために仲間を裏切ったからだと話し、去って行った。