小さな巨人 第6話 あらすじ・レビュー

捜査情報を新聞社にリークした香坂（長谷川博己）は、豊洲署に異動になった。同時に、警視庁警務部人事課にいた三島祐里（芳根京子）、そして山田（岡田将生）も豊洲署に配属された。

山田は、父親のコネを利用したやり方に不満の声があがっているとして異動させられたのだ。小野田（香川照之）は、1年で捜査一課に戻し、警部に昇任させると告げ、問題だけは起こすなと釘を刺した。

豊洲署に、横沢亜美（中村アン）が相談にきた。夫の裕一（井上芳雄）が失踪したから探してほしいという内容だった。

裕一は早明学園の事務局で経理課長を務めているという。

早明学園の専務の富永（梅沢富美男）は、元警視庁捜査一課長で、退任後、天下りで今の職に就いた。

香坂の父・敦史（木場勝己）を所轄へ異動させた因縁の相手でもあり、小野田を捜査一課長の座に引き上げた人間でもある。

早明学園にも事情を聞きに行こうという香坂に、小野田に話を通してもらったほうがいいと山田は言う。

香坂が小野田に報告すると、話を通してくれることになった。

早明学園を訪ねた香坂は、新人警察官時代に世話になった富永に挨拶を済ませ、理事長の金崎玲子（和田アキ子）を紹介してもらう。

そこで金崎から、裕一が6000万の横領をしていたこと、そしてそれを示談にしようと思っていると聞かされる。

学校側としてはこのことを公にするつもりもなく、警察の介入も必要ないと富永は言う。

一大プロジェクトを控えている中で警察が関わる事件が起きたとなれば信用にかかわるというのだ。

家出人捜索と横領の件とは別の話だと香坂は言い、家出人捜索を続けるかどうか検討しなければならないと言い残して部屋をあとにした。

渡部（安田顕）が豊洲署を訪ねてきた。香坂と一緒に仕事をし、いつか香坂のような刑事になりたいと思った渡部は猛勉強をし、その熱意が認められ捜査一課に異動になった。そして今は、小野田の運転担当になっている。

渡部は、小野田が香坂に会いたいと言っていると伝えに来たのだ。

小野田と会った香坂は、裕一の家出人捜索は通常の処理をして終わりにしろと命じられる。

組織には知らなくてもいいこともあるんだと小野田は言う。富永が手を回したのは確実だった。

三島が借りていた名簿を返すために横沢家を訪れようとしていると、横沢の自宅から山田が出てきた。

亜美の話では、裕一がどこへ行ったのか手がかりになるようなものがないか部屋を確認させてほしいと言ってあちこち探していたという。

そこで亜美はあることを思い出した。以前、裕一が職場の同僚・矢部（ユースケ・サンタマリア）を連れてきたことがあったという。

写真を見た香坂は、早明学園で矢部とすれ違ったことを思い出した。

裕一の件は山田が香坂の了承を得ずに、事件性なしということで報告書を出していた。

富永、小野田、そして山田までもが、香坂から失踪人の捜索願を遠ざけようとしている。

香坂は、記者の佐川（好井まさお）に連絡を取り、調べてほしいことがあると告げた。

矢部貴志は、中途採用で早明学園の経理部に半年前から勤務し始めた。

裕一と親密な関係にあった可能性がある。香坂が登録されている住所を訪ねたが矢部の姿はなかった。管理人の話によると、入居の際に顔を見て以来一度も会っていないという。

裕一の失踪についても何かを知っているハズだと香坂は考えていた。

帰宅する際に接触し、職務質問から任意同行をかけると部下たちに話した。今回は山田抜きで行うとも告げた。

署員たちが矢部を尾行しているところを山田が見ていた。山田はメールを打つ。メールを見た矢部は姿を消した。

署員を四方から向かわせ挟み撃ちにしようとするが矢部は見つからない。三島が見張っていた傍に立てかけてあった金属の棒が落ちてきた。

近くにいた山田がとっさに三島を助けた。

矢部が姿を現し、右方向へ逃げた。だが矢部は、香坂たちに「左へ逃げました」と嘘の報告をした。

結局矢部を見つけることは出来なかった。香坂はみんなを帰したあと、本当は何があったのかと三島に尋ねた。

三島は言いづらそうに、山田が嘘をついたことを報告した。

香坂が山田に、何を隠しているのかと問い詰める。

山田は、問題を起こさなければ一課に戻れる自分が捜査の邪魔をするはずがないといい、所轄は上の指示通りにやっていればいいんだと言って出て行った。

そこに佐川から電話が入る。佐川が香坂に告げたのは、早明学園が一部の政治家と手を組んで仕掛けた不当な土地売買のからくりだった。

早明学園は、国が持てあましている0円の土地を10億という値段で買い取り、その代わりに国は学園設立の認可が下りるための便宜を図って有名政治家を顧問にし、外務省を通じて海外の優秀な教師や留学生を招き入れた。

これにより早明学園のブランド力が高まり、急激に台頭していったという。

そんな中、経理課長の裕一が姿を消したのだ。やはり何かあるに違いないと香坂は考える。

三島は早明学園の職員に矢部のことについて尋ねた。

するとその職員が、以前、事務局の前で騒ぎがあった時のことを話し始めた。

その時、騒動を見ていた矢部はどこかに電話をし住所を告げると「PCの準備をお願いします」と口にしたというのだ。

なぜこんな時にパソコンの発注なんてするんだろうと思って記憶に残っていたようだ。

その報告を受けた香坂は、矢部の正体、そして山田の狙いもわかった。

山田は再び横沢家を訪れていた。出てきたところで香坂が声をかける。そして三島が仕入れてきた情報を伝える。

一般的にはPCと言えばパソコンのことだが、刑事にとってのPCは警察車両、パトカーのことだ。矢部は警察官だったのだ。

人事課出身の三島に頼んで警視庁本部にあるデータを照合してもらったところ、矢部の本名がわかった。

江口和夫。今は人事課に肩書を変えているが、元捜査二課の刑事だ。山田が新人時代に研修を担当した先輩刑事でもある。

山田は最初に早明学園を訪れた時、江口に再会していた。

何かの任務で学園にいることを悟った山田は詳しいことは聞かず、会わなかったことにすると言ってその場を離れようとした。すると江口は山田を呼び止め、事情を話し始めた。

江口は、警察内部でも極秘の任務でこの学園にきた。早明学園が隠している闇取引、そして政財界との癒着の証拠を江口が掴もうとしていることを山田は聞かされた。

裕一が会社の金を持ち逃げしたという噂も嘘だった。実際はその逆で、裕一は早明学園の不正を暴こうとしていたのだ。

江口は裕一に接触し、不正の証拠を手に入れるために力を貸していた。その証拠とは、早明学園が隠し持っている裏帳簿だ。

それさえあれば、政治家への闇献金が明るみに出来る。裕一はその帳簿を手に入れた。だが江口の手に渡る前に姿を消した。

手に入れた裏帳簿をどこかに隠していたはずだと江口は言い、山田に協力を求めたのだ。

その話を聞いた香坂は、一つだけ許せないことがあると前置きし、なぜ自分に報告しなかったのかと尋ねた。

捜査一課の自分が所轄のあなたを信用するわけがないでしょうと山田は言い、自分以外の全員が敵なんだと話した。

山田が一人になった時、江口から連絡が入った。証拠の在り処、そして裕一の居場所がわかったという。

同行してほしいと言われた山田は江口がいるところへ向かった。

山田が乗った車両ナンバーを三島が香坂に報告し、二人は山田のあとを追った。

到着したのは早明学園だった。警備員の話によると屋上の鍵が盗まれていたという。

二人が屋上へ向かう途中、銃声がした。屋上には山田がいて、傍には江口が倒れていた。山田はその場から逃走した。

香坂が後を追う。香坂に追いつかれた山田が「香坂さんに早く報告すればよかった」と告げ、その後何かを言いかけた時、パトカーが到着し、山田は連行されてしまった。