貴族探偵 第7話 あらすじ・レビュー

1年前、切子（井川遥）の大切なクライアントでもある都倉電子社長の都倉健一（小木茂光）が亡くなった。切子は慌てて都倉家へ向かった。

そこには、都倉の妻、光恵（広末涼子）、都倉の前妻の息子、忠仁（藤原季節）、同じく娘の江梨子（唐田えりか）、秘書の旗手真佐子（森口瑤子）たちがいた。

都倉が自殺したとは思えない切子は、現場の管理責任者で交番に勤務していた鼻形雷雨（生瀬勝久）に頼み、現場を見せてもらった。

都倉は書斎で死んでいた。睡眠薬を服用後、手首をカッターナイフで切って失血死したという。部屋の鍵は都倉の胸ポケットに、もう一つの鍵は室内のバッグの中に入っていた。密室状態というわけだ。

切子は隅々まで見て回り、その密室が作られたものであると見抜いた。

切子は鼻形に、3つの頼みごとをした。まず一つは、床についた物質が何なのか。二つ目は、部屋から回収された遺留品の中にある糸に付着していたものは何か。もう一つは都倉のシャツの胸ポケットに小さな穴があるかどうか。この3つを確認してほしいと頼んだ。

そこにやってきた田中（中山美穂）は、主が待っていると、一同を貴族の天幕に誘う。

切子は関係者の前、都倉はで自殺ではなく殺害されたのだと断言し、切子と貴族探偵がそれぞれ犯人を暴くことになった。

切子は早速関係者のアリバイを確認した。

都倉の前妻の息子・忠仁と娘の江梨子は共通の友人とレイトショーを見に行っていた。

正津は翌日のゴルフに同行するために都倉家を訪れていたが、急きょプレゼン資料を変更しなければならなくなって会社へ行っていた。

妻の光恵と秘書の真佐子にはアリバイがない。

忠仁と江梨子は切子を呼び出し、父親を殺害した人間がいるなら光恵だと告げた。

父の健一は、妻を亡くしてから長い間、秘書の真佐子と付き合っていた。内縁の妻だ。子供たちの面倒もよく見ていて、忠仁たちは真佐子と結婚してほしいと願っていたが、健一はクラブで知り合った光恵とわずか半年ほどで結婚した。

そして光恵は、都倉電子で秘書として働くようになった。

正津からも証言が得られた。都倉が亡くなった日の夜、光恵と真佐子の間にトラブルがあったという。

正津が真佐子と一緒に都倉家へ到着した時、社長と光恵も帰ってきたばかりのところで鉢合わせになった。

光恵が夫からもらったバッグと同じものを真佐子が持っていることに気付き、二人は言い合いになった。

光恵はもう使わないと言ってそのバッグをその場に置いた時、激高した真佐子がバッグを投げつけてきた。

そこで二人のバッグが入れ替わってしまった。光恵は真佐子のバッグを自分のものだと思い持ち去った。

真佐子は光恵のバッグを返そうと思ったが、そういう雰囲気ではなかったため、社長に返してもらうことにして書斎に持って行ったと証言した。

翌朝、光恵から都倉を呼んできてほしいと頼まれた真佐子は書斎へ向かった。だが鍵がかかっていて返事もない。

飾り窓から中を覗いて遺体を発見。正津がカギを壊し中へ入ると、都倉は既に亡くなっていた。

切子が知りたがっていた3つの疑問の答えがわかった。

まず一つ。床に付着したべたつきはアルカリ性の洗剤だった。

二つ目、糸はエアコンの正面の壁際に落ちていたという。

そして三つ目、都倉のシャツの胸ポケットの上部に小さな穴があいていた。

それを聞いた切子は、関係者を集めてほしいと言うと、みんなの前で推理を披露した。

犯人は用意していた睡眠薬入りのチョコレートを書斎へ運び、都倉に食べさせた。眠ったところで手首を切って殺害し、自ら睡眠薬を飲んだように偽装した。

シャツの胸ポケットに針で糸を通し、その糸の両端を飾り窓から外に出した。犯人は室内にあった鍵を持って外へ出ると鍵を閉め、その鍵を飾り窓に取り付けた糸を使ってポケットへ戻した。

糸を回収する際に、壁際のオブジェに糸が引っかかり切れてしまった。

犯人は針に糸を通す時、それを舐めていたので調べられたらすぐに自分が犯人だとバレてしまうと考え焦った。

鍵は二つとも中にあるため、室内には入れない。そこで犯人は証拠を隠滅するために、水鉄砲に洗剤を入れ、飾り窓から糸をめがけて噴射した。糸に付着したたんぱく質を溶かして自分の証拠を消した。

その水滴を乾かすためにエアコンをつけ、30度の強風を贈り続けた。乾いて軽くなった意図は壁際へと飛ばされた。

アリバイがない二人のどちらかが犯人だと切子は言う。警察へ連絡するように正津に頼んだ時、光恵が口を開いた。

都倉は自殺したということでいいと言い出した。社長の自殺だけでも会社にとっては大きなダメージなのに、身内に殺害されたとなったらつぶれるかもしれないと光恵は言う。

光恵が犯人だと思っている忠仁や江梨子から責められても、自殺ということにしてほしいと切子に頭を下げた。

そこで貴族探偵が山本（松重豊）に命じ、真相を暴き始める。

山本は、犯人は真佐子だと指摘し推理を披露した。

糸が切れてしまい、水鉄砲やエアコンを使って証拠を隠滅するところまでは切子の推理通りだった。

その後、真佐子は光恵とバッグが入れ替わっていたことに気付いた。真佐子はそのカギを使って室内に入り、光恵のバッグをドアの入り口付近の棚に置いた。

そしてそのバッグに入っている光恵の口紅を新たに作った糸に塗り、床に落ちていた糸と置き換えた。光恵に罪をかぶせようと考えたのだ。

真佐子は部屋を出て鍵をしめ、糸を使って光恵のバッグにそれを戻した。

11時には書斎にバッグを返しに行ったと反論する真佐子に、もしそれが本当なら密室を作る際に、なぜバッグの中ではなく、胸ポケットに鍵を返したのかと山本は疑問を口にした。

そして部屋から見つかった糸は両端が刃物で鋭角に切断されていたと山本は言う。それは引っ張ってちぎれたものではなく、新たな糸を用意したという証拠だ。

犯人じゃないのになぜ反論しなかったんだと忠仁たちに責められる光恵。

光恵は、愛する人が守ってきた会社と愛する家族を守るために頭を下げたのだと貴族探偵は言う。

夫が亡くなった今、家族も会社も自分が守らなければならないと決意し、どうしても自殺で終わらせたかったのだ。

無事事件も解決し、切子と二人で飲んでいた貴族探偵は、犯人が誰なのかわかっていたのに切子はあえてそれを口にしなかったと指摘した。

それは光恵と家族とつなげるためだと自分の考えを述べた。

切子は貴族探偵に一つ聞きたいことがあると言って、メモ帳に何かを書き始めた。それを貴族探偵に見せて「この名前に見覚えはあるかしら？」と聞いた。

切子が帰ったあと、貴族探偵は秘書の鈴木（仲間由紀恵）に切子を殺せと命じた。

その直後、愛香のスマホのアプリにアップデートの知らせが届いた。

現在の愛香…。

切子が使っていた手帳を見て、切り取られた部分に気付いた。

そこには文字の痕がついている。愛香が鉛筆でそれをこすると、"政宗是正"という名前が浮かび上がってきた。

その名前を調べるとギリが「その質問にはお答えできません」と答えた。