貴族探偵 第4話 あらすじ・レビュー

喜多見切子探偵事務所に、アイドルオタクがやってきた。彼らが愛していたアイドル・有畑しずる（藤川千愛）がライブ直後に、飛び降り自殺をした。恋人・優に対するメッセージを残していたことから、ファンたちはそれが誰なのかを調べ、田名部優という人物にたどり着いた。

そこで愛香（武井咲）にその人物を探し出してほしいという。

だが愛香は、復讐に手を貸せないという理由でその依頼を断った。

オタクたちが帰ったあと、玉村依子（木南晴夏）がやって来た。温泉に誘われ、パワースポットとして話題の温泉へ一緒に行くことに。

旅館へ向かう山道の入り口で愛香たちを迎えたのは、女将の女将の浜梨久仁子（釈由美子）だった。

旅館へ向かう間に、久仁子から今夜行われる予定になっている“いづな様”を迎える儀式についての説明を受ける。

ある時から、人が一人増えたと噂されるようになった。それをいづなと呼ぶようになった。いづなとはキツネのことで、人を化かして楽しんでいるのだろうと考えられた。だがいづなに会うと良いことが起こるといううわさが広がり、次第に“いづな様”とあがめられるようになったのだと言う。

旅館も繁盛したが、湯量が減ってきて、今では少しずつ湯をため、月に一度だけいづな様を迎える儀式を行っていると久仁子は説明した。予約もなかなか取れないらしい。

旅館に着くと奥の間へと通された。赤川和美（柳ゆり菜）、金谷沢広成（小松和重）がいた。

そこにはいくつもの名前が立てかけられている。宿から送られてきたのしに、自分で名前を書いて願い事を同封して返送しなければならないらしい。

儀式のときにそれが燃やされ、最後にいづな様の湯の源泉を飲んで一人ずつ温泉に入ると願い事が叶うと言われている。

愛香は知らなかったため、返送していない。そのためそこに愛香の名前はなかった。愛香は参加できないということだ。

お互いに挨拶をかわしていると鼻形雷雨（生瀬勝久）がやってきた。恋人が欲しい鼻形は、ご利益を授かるためにプライベートでここを訪れたという。

愛香は、立てかけられた名前に“田名部優”という名前を見つけ驚く。オタクたちが探していた人物だ。

次に入ってきたのは、バーを経営しているという有戸秀司（阿部力）だった。

その直後に入ってきたのは貴族探偵（相葉雅紀）だった。下北香苗（草刈麻有）という女性に付き添ってきたらしい。

貴族探偵が田名部優かと思っていると、すぐに田名部（渋谷謙人）と名乗る男性がやってきた。

のしのない愛香と貴族探偵はそこに泊まることが出来ないため、一般の客室に泊まることになった。

いづな様の儀式が行われている間、愛香たちは温泉に入ったり、お酒を飲んだりしてくつろいでいた。

翌朝、鼻形は温泉に入って悲鳴を上げた。慌てて愛香や久仁子がかけつけるとそこには血を流した田名部優が倒れていた。

愛香は関係者に、田名部優について話し始めた。

地下アイドルの有畑しずるは、ある時から恋人のことをブログにつづるようになった。だが次第に相手との関係が悪化し、ブログに悩みを書き込むようになっていった。

1月ほど前に二人は破局し、最後のブログに「さようなら、優ちゃん」と書き残し、自殺をした。

ファンが、しずるを自殺に追いやった優という人物について調べ始め、田名部優という本名にたどり着いた。

身元を知ったファンが旅館までやってきて、何か事件を起こすのではないかと心配していたと愛香は話した。

すぐに警察に連絡を入れたが、旅館に続く唯一の通路であるつり橋が落とされているため、警察も消防も旅館までたどり着けない。

北側にも山道があるがそこを歩くとなると丸1日かかると久仁子は説明する。

捜査していた愛香が、電話の傍に置いてあったメモ帳に目をとめた。それには羽田の飛行機の時刻が書き込まれたようなあとが残っていた。

愛香がそれを名前の書かれた札のところへ持っていき照らし合わせてみると、田名部優の直筆に酷似していた。鼻形に通話記録を調べるよう指示する。

その時、外から犬の鳴き声が聞こえてきた。外へ出てみると、貴族探偵が女性たちとお茶を飲んでいる。

傍らには貴族探偵の飼い犬がいた。山道を通ってお茶を運んできたのだと言う。

依子が、犬につけられたバッグからタブレットを発見。

それには、田中（中山美穂）からのメッセージが添えられていた。今回の事件をまとめたものらしい。

浜梨館の奥の間には7人がいた。唯一の出入り口のドアのカギは久仁子が持っていて、鍵は内側からしか開けられない密室状態にあった。

7人は順番に温泉に入り、被害者の田名部は一番最後、深夜0時に入った。死亡推定時刻は0時～2時の間。

犯行時刻の2時間は、みんなで話をしていた。だが、0時から0時30分の間、有戸と和美はトイレに行くため席を外した。

そして7人の財布が盗まれていることも判明する。

警察から連絡が入り、0時13分から30分までの間、電話が使われていたことがわかった。

田名部優は0時30分まで生きていたということになる。有戸と和美のアリバイも成立する。

田名部のバッグに入っていたノートを見た愛香は、みんなを集めるよう指示した。

愛香が疑ったのは久仁子だった。密室空間ではあったが鍵を持っていた久仁子は部屋に入ることが出来たと愛香は指摘する。

田名部のノートを見ると、かなりの温泉マニアだったことがわかる。浜梨館についても事前に詳しく調べてきている。

儀式の際、源泉を飲んだ田名部はそれが偽物だと気付き、久仁子をゆすった。

有畑しずるのファンから命を狙われていた田名部は、逃亡資金が欲しかったのだろうと愛香は言う。

別の場所で殺害した田名部の遺体を偽装するために温泉へ運んだ。だが死後硬直が進んでいたため、温泉に入っていたとするには不自然な体勢になってしまった。そこで遺体を脱衣所付近まで引きずった。これが愛香の推理だった。

だが久仁子はそれを否定し、貴族探偵も否定した。久仁子は0時から2時の間、貴族探偵と一緒にロビーでお酒を飲んでいたのだ。

貴族探偵が事件の真相を語ると言い出した。

「あとは任せた」と貴族探偵が口にすると、田中、佐藤（滝藤賢一）、山本（松重豊）が現れた。佐藤が北側の山から4時間でやってきたという。

そしてつり橋を直し、田中と山本もこの旅館に来ることが出来たのだ。

佐藤は、今回の事件は有畑しずるのファンの犯行によるものだと断言する。温泉に入っている田名部を殺害し、立ち去ろうとした時、犯人はスマホに気付いた。

それには、ネットにも載っていないしずるが写っているかもしれないと考えた熱狂的なファンである犯人はそのスマホをチェックした。だがロックがかかっていて開かない。

田名部優の指でスマホを開こうとするも、指がふやけていて反応しなかった。そこで犯人は、遺体を脱衣所まで引きずり、指先をドライヤーで乾かしてスマホを開いた。

だがそのスマホには有畑しずるの写真は一枚もなかった。

殺害されたのは、田名部優ではなく、赤川和美だったからだ。二人は名前を入れ替えていたのだ。

有畑しずるの自殺後、正体を突き止められた田名部優は怖くなっていづな様の力を借りようとした。

だが本名で行くのは危険だと考え、女性のような名前の男友達・赤川和美に協力を頼んだ。

自分の影武者が殺されたことを知った本物の田名部優は、自分の本名を隠すため、全員の財布を盗んだ。身分証明書を隠すためだった。

田名部優は佐藤の推理を認めた。温泉好きだった赤川は、田名部優の事情を知り、笑顔で引き受けてくれたという。

のしの名前は自分で書き、呼び名だけ入れ替わってもらったという。

電話をしながらメモを書いたのは、殺された男性ではなく、女性の田名部優本人だったということになる。

このことにより、犯行時刻も変わってくる。もともとアリバイがなかった人物。それから考えると、犯人は有戸ということになる。

田名部優本人にナイフを向けた有戸を佐藤が制した。

田名部優は、本気で別れるつもりだったわけじゃなく、ケンカの延長で別れ話を切り出しただけだったのだと話した。