警視庁捜査一課9係 第7話 あらすじ・レビュー

ある神社で、杉谷道夫（笠兼三）の死体が見つかった。頭部を殴られており、近くには凶器と思われる大きな石が転がっていた。

杉谷の内ポケットには20万の入った封筒があった。どうやら物取りではないようだった。

遺体の近くには被害者のものと思われるペットボトルもあった。お茶の入れ物だが中身は水。それが気になった直樹（井ノ原快彦）は早速中身を調べてもらうことにした。

杉谷が1か月ほど前、連続空き巣犯として取り調べを受けていたことが判明する。

だが、証拠不十分で釈放されている。主犯についても名前は知らないと証言していた。

凶器となった石からは指紋は発見されず、現場には3人の足跡が残っていた。一つは被害者のもの。残りの2つは、男物のスニーカーと、自由が丘にある靴屋のオーダーメイドで作られた女性もののサンダルだった。

直樹が気にしていたペットボトルの中身が整水器で作られた水であることがわかった。

水道水の不純物をフィルターで除去する浄水器とは違い、そこから電気分解して水素が含まれた水にするのが整水器の水なのだという。

その整水器は一般家庭用には作られていないため、導入している企業や施設から、杉谷がどこでその水を入れたのか直樹が調べることになった。

杉谷の周辺を調べていた志保（羽田美智子）と村瀬は、杉谷が通っていた食堂で、壁に貼られた写真に見入っていたと聞かされる。

それは介護施設・遼水園のイベントで撮られたものだ。

その写真には矢沢（田口浩正）の妻・早苗（畑野ひろ子）も写っていた。

直樹は志保からの情報で、整水器のリストにあった遼水園を訪ねた。

そこで杉谷が看護師の理沙（下村愛）を訪ねてきていたと聞かされる。

理沙に会うために、訪問介護先を訪れた直樹は、青柳（吹越満）と矢沢に出くわす。

青柳達は現場に残されていた女性もののサンダルから持ち主を割り出してそこへ来ていた。

サンダルの持ち主は、理沙が介護を担当する春江（池田道枝）だった。だが、娘の静子（小林綾子）の話によると、1か月ほど前にどこかで失くしてしまったらしい。

理沙に杉谷の写真を見せると、昔の恋人の知り合いで、たまたま近くに来たから施設に立ち寄ったのだと説明した。

青柳はわざとボールペンを落とし、それを理沙に拾わせて指紋を手に入れた。照合の結果、封筒についていた指紋と一致した。

取り調べの様子を見ていた村瀬は、理沙が杉谷の部屋にあったAVに出演していたことを思い出した。杉谷はその助監督として撮影に参加していた。

定食屋で偶然理沙が写った写真を見た杉谷は、口止め料を要求してきた。

理沙は遼水園の近くで金を渡したという。犯行時刻のアリバイはない。

直樹は話を聞くため、再び春江の自宅を訪れた。春江は庭で楽しそうに長男の優一（小林健）とおしゃべりをしていた。

静子に、理沙が親しくしている人物について尋ねると、同じ施設のスタッフと付き合っているのではないかという。それは大西誠司という男性だった。

青柳達が大西に話を聞くと、理沙の過去を知っていた。

理沙が10代の頃、父親が借金を残し女と逃げたらしい。その借金返済のために出演したようだ。

犯行時刻、理沙は大西のマンションにいて、プロポーズを受けていたことが判明する。

青柳は理沙に「全てを知ったうえでプロポーズされたんですよ。何も隠す必要はない」と告げた。それを聞いた理沙は涙ぐむ。

理沙が杉谷から20万要求されていた時、たまたまそれを静子が見ていて、お金を工面してくれたと言う。

志保たちが静子から話を聞くために自宅を訪ねる。

静子は女性の自立を応援するためのNPO法人をしていて、女性を脅したり暴力をふるったりする男が許せなかったのだと話した。

そこに春江と優一が戻ってきた。3人とも犯行時刻には、自宅にいたという。

直樹は矢沢に頼んで早苗から遼水園について話を聞かせてもらうことにした。

早苗は2年前からボランティアで絵を教えているという。春江は息子の優一が帰ってきてから明るくなったと早苗は話す。

優一は、3年前に熱海で釣りをしていた時に波にさらわれて行方不明になっていたが、1か月くらい前に突然帰ってきたという。

等々力署から杉谷のスマホの履歴の資料メールが届いた。その中の写真の中に北山大樹という男がいた。名前は違うが優一だった。

杉谷が空き巣をした相棒が北山だった。

そして杉谷が捕まった3日後、北山は一人で小川家に一人で盗みに入った。

それに気づいた春江は、北山の顔を見て、優一が帰ってきたと泣いて喜んだ。写真を見ると北山本人が驚くほど優一が自分と似ていたため、そのまま息子になりすましたという。

静子は、遼水園の帰り道、杉谷が優一（北山）に話しかけているのを見たという。心配になった静子はあとをつけた。

すると杉谷が、バラされたくなかったら1千万用意しろと脅してきた。優一（北山）がそれを拒否すると、春江を殺すと言い出した。

そこで優一（北山）は近くにあった石を手に取りそれで杉谷の頭を殴ったのだ。その時、静子は春江からもらったサンダルをはいていた。

自分のせいで優一（北山）が捕まったら困ると思ってそれを庭に埋めたという。

優一が本物かどうかなんてどうでもよかったと静子は言った。

母親の笑顔を見ていられたらそれでよかったんだと涙を流し、少しの間でもまた一緒にいられて幸せだったと話した。

北山もまた、初めて人から必要とされて嬉しかったと話した。