警視庁捜査一課9係 第3話 あらすじ・レビュー

音楽出版社社長・良美（藤真利子）の他殺体が自宅から発見された。

遺体の傍には血のついたトロフィーが転がっていた。窓からは何者かが侵入した形跡があった。

第一発見者は目が不自由な女性ピアニスト・響子（夢咲ねね）。良美は、響子とその妹・真子（梶原ひかり）と同居していた。

事件があった日は、プライベート演奏会が行われていた。真子のバイト先のフレンチをケータリングして、良美が期待している新人を呼んで食事をするのだという。

昨夜は一ノ瀬子音という女性が来ていた。食事を終えて演奏会が始まった。

11時30分にその演奏会は終わり、子音は帰宅。真子は道具を返すためにバイト先へ行き、そのまま店で寝てしまったという。

響子は真子が家を出たあとすぐに寝室へ行って就寝。6時30分頃起きて遺体を発見した。

直樹は現場のゴミ箱にブラームスのクラリネット三重奏曲のCDが捨てられているのを発見する。

響子に聞くと、演奏会のあと聞いて戻したつもりだったが落ちてしまったのかもしれないという。

死因は脳挫傷。凶器はトロフィーのようだ。テーブルの上には、ブルーチーズとブランデーが置いてあったが、胃からはブルーチーズは検出されなかった。

現場に残されていた足跡は、紳士用の革靴で27.5ｃｍ。死亡推定時刻は、午前2時～3時だと判明する。

ブラームスの三重奏曲は、良美が響子の才能を見出すきっかけとなった曲であることがわかった。

響子がピアノ、妹の真子はチェロを担当していたという。

良美もかつては素晴らしいピアニストだったらしいが、事故で腕の神経をいためて引退したらしい。

響子の会社の編集長から話を聞いていると子音がやってきた。

編集長は、良美から届いたというメールを子音に見せる。それは子音を褒めるメールで午前2時36分に届いていた。

直樹（井ノ原快彦）は響子から話を聞いていた。子供の頃木から落ちて失明したという。また、20歳の時、両親を亡くしている。

妹のおかげでピアノが続けてこられたと響子は言う。

良美が自分を見つけてくれた時、本当に嬉しかった。妹を楽にさせてあげられると言い、良美に対して感謝しかないと話した。

真子は、チェロの才能がないことはわかっていながらも、それを認めることが出来なかった。そんな時、良美に勧められ料理の世界へと入ったという。

真子も響子と同様、良美には感謝していると口にした。

そんな中、青柳たちは、真子のバイト先の店長から、事件当日の夜、真子にタクシー代を貸したと聞かされる。

過去の響子の演奏と現在の演奏を聞き比べている時、直樹があることに気付いた。

良美が響子の才能を見出すきっかけになったというブラームスの三重奏曲で、クラリネットを担当していた男性が、防犯カメラに映っていたのだ。

桐野浩二というその男性から事情を聴くことに。

事件当日の夜、確かに家の前まで行ったが、そのまま帰ったと桐野は証言した。

桐野は過去、響子と交際していて、結婚まで考える仲だった。

だが桐野の浮気が原因で別れることになった。だが桐野はそれは全部、良美の罠だったと話した。

3年前に響子の才能が認められた時、桐野は喜んだ。彼女の才能を知っていたからだ。

3か月後にコンクールがあるからその間だけは連絡をとらないでほしいと良美に言われ、響子のためだと思って我慢した。

コンクールの翌日電話を掛けると、電話番号がかえられていた。その時知り合った女性と浮気をしてしまう。

ホテルを出た時、偶然良美と響子が通りかかり、翌日楽団を解雇され、その後どこへ行っても雇ってもらえなかったという。

裏で良美が手を回していたのだと話した。

でも殺していないと否定する。事件当日、妹の真子から電話があったという。

以前から、良美には気を付けろと話していたのだと桐野は言う。

真子は電話で桐野に、「桐野さんのいう通りだった。でも絶対負けない。お姉ちゃんを助け出す」と話した。

桐野は二人のことが心配になり、家の前まで行ったが、どんな顔をして会えばいいかわからず、そのまま帰宅したらしい。

志保は子音に話を聞く。

演奏会当日の最後の曲は、響子の『ラ・カンパネラ』だった。

子音は、良美と真子の関係がうまくいっていないと感じたと話す。

響子の演奏が終わったあと、真子はブラームスのクラリネット三重奏曲のＣＤをかけだした。良美はそれを止め、ゴミ箱に捨ててしまった。

帰るよう言われたので、子音はそのまま帰ったと話した。

良美はメール魔だった。

編集長へ送られたメールを確認して志保はあることに気付く。途中から真子のことが一切書かれなくなったのだ。

もしかしたら桐野と同じで、真子も抹殺されそうになっていたのかもしれないと志保は考える。

そこに直樹がある画像を持ってきた。

映っていたのはピアニスト時代の良美だが、髪型も衣装も弾き方も、全て現在の響子とそっくりだった。

良美が響子の才能を見出したのは、自分のコピーを作るためだったのかもしれないと直樹は言う。

現場に残っていた足跡は、良美の亡くなった夫の靴だったことが判明する。強盗殺人に見せかけるため、偽装工作されたと思われる。

志保たちは改めて現場となった家を調べることに。

ある靴の箱に、色違いの靴が一緒におさめられていた。このことで偽装工作をしたのが響子だと判明する。

真子は家を出てパリへ行くと言い出した。

真子は、良美はただ自分のコピーを作りたいだけだ、昔の音を思い出すようにと響子に言った。

良美からは、どちらを選べばいいかわかってるでしょうと迫られ、響子は良美についていくと答えた。

そうは言ったものの、このままコピーを続けるのは耐えられない。そう思った響子は思わず、近くにあったトロフィーで頭を殴ってしまったと証言した。

だが直樹はそれを否定する。

良美のコピーを受け入れたのも真子のためだろうと直樹は指摘し、真子に負担をかけたくないと思っている響子が良美を殺せるはずがないと直樹は言った。

偽装工作に使われた靴が、響子の実家から現金と一緒に見つかった。

真子は自分が良美を殺したと認めた。

小さい頃、ピアノの先生に叱られた真子は木に登って泣いていた。響子は真子を慰め、木から降ろそうとして、落下し失明してしまった。

その事実を良美は真子から聞き出した。最初は親切なふりをしていたが、ことあるごとにそのことを持ち出し、真子を責めるようになったという。

最後の最後に、響子が選んだのは良美だった。それが一番許せなかったのかもしれないと真子は話した。

現場を立ち去った人物から真子の香りがしたという。それで響子は真子をかばうために偽装工作を行ったのだ。だが志保は納得できないでいた。

そこで青柳が、店長からタクシー代を借りていたことを思い出す。

その話を聞いた志保は、もしかしたらバッグごと家に忘れていたのではないかと考えた。もしそうなら、家にあった真子のアロマを誰かが使ったのかもしれない。

香りを嗅いで真子の犯行だと響子が思い込んだように、もしかしたら真子も響子が偽装工作をしたことで響子の犯行だと思って罪を被ったのかもしれない。

直樹はブルーチーズのことがずっと気になっていると言い出した。

良美のメールには、オーベルのブルーチーズとブランデーの組み合わせはＮＧだと書いてあった。

そして、良美が編集長に送った最後のメールにだけ絵文字が使われていた。このことで、子音に疑惑がむいた。

子音を褒めるそのメールは子音が自分で打ったのではないかと考えられる。

スーパーでオーベルのブルーチーズを購入していたことも判明する。

演奏会のあった日、子音はブルーチーズを響子に出した。

だがそのことも、ピアノの演奏についても酷評され、田舎へ帰った方がいいとまで言われてしまい、殺してしまった。

編集長にメールを送信したあと響子が降りてきたため、真子のアロマを振りかけて部屋を出た。

響子はパリへ留学に行く真子を送り出すことにし、自分は一から日本でやり直すことに決めた。